日本から寄贈された「ヤパナツ」バスが引退 ~セルビアとの長年の友好の証~

「お気に入り追加」で、いつでもすぐにアクセス

SerbianWalker撮影

2003年に日本政府からセルビアの首都ベオグラードに寄贈された93台の黄色いバスが、20年の長きにわたる活動を経て、ついに引退しました。

これらのバスは「ヤパナッツ(Japanac)」という愛称で地元の人々に親しまれ、日本とセルビアの友好関係の象徴としてベオグラード市民の足となり続けてきました。
2025年3月29日、カレメグダン公園で引退セレモニーが盛大に開催されました。

「ヤパナツ」バス:日本とセルビアの友情の象徴

SerbianWalker撮影

日本政府は、2003年に1,550万ユーロ相当の93台のバスをベオグラードに寄贈しました。
これは、1990年代の経済制裁と紛争後、困難な状況にあったセルビアへの支援の一環でした。
この寄贈は、日本とセルビアの143年にわたる友好関係を象徴するものであり、バスには日セルビア両国の国旗がクロスしたシンボルが描かれていました。

満身創痍で走るヤパナツ(2017年 SerbianWalker撮影)

これらのバスは、20年間で約1億キロメートルを走破しました。

引退セレモニーと日本への感謝の言葉

引退セレモニーでシャピッチ市長、ならびに今井大使は次のように話しました。

「2003年の日本からのバスの寄贈だけでなく、これまでセルビアとベオグラードへのさまざまな支援に心から感謝しています。あの時期、日本からの支援は、ベオグラードとセルビアにとって非常に重要なものでした。」

「セルビアと日本は140年以上にわたる友好関係を築いてきましたが、『ヤパナツ』バスは、その友情のシンボルとなりました。」
今村大使は、これまでの日本の支援がセルビアの市民生活を大きく改善したことに誇りを感じていると述べました。

子どもたちが描いた作品で彩られたバス

Image: Grad Beograd

セレモニーの一環として、引退したバスの1台が展示され、ベオグラード市内の小学校の生徒たちが描いた作品でバスが飾られました。

日本の寄贈から20年:感謝とともに未来へ

カレメグダン(ベオグラード要塞)にある「日本の泉」は、紛争後の日本からの支援に対する感謝の印

2003年の日本からのバス寄贈は、単なる交通手段の提供にとどまらず、日本とセルビアの絆を深める重要な架け橋となりました。
引退を迎えた今もなお、「ヤパナツ」バスはセルビア市民の心に刻まれ、日本への感謝の気持ちはこれからも受け継がれていくことでしょう。